神社・寺院それぞれの信仰空間を形にする施工力
神社と寺院では、建築に込められた宗教的背景がまったく異なる。株式会社和昇の宮大工たちは、その違いを深く理解したうえで施工に臨んでいる。神社建築では本殿・拝殿だけでなく、瑞垣や鳥居、灯篭、賽銭箱といった境内全体の構成要素を一体として扱い、聖域としての威厳を損なわない空間づくりを徹底。寺院建築においても七堂伽藍の配置原理に沿った本格的な仏教建築を得意とし、庫裡や位牌棚など付帯設備の施工まで格調と実用性の両立を追求している。
個人的には、建物の規模や難易度に左右されず同じ姿勢で取り組むという現場の空気が印象的だった。宗教建築は単なる構造物ではなく、地域の人々にとって精神的な拠り所であり続ける存在でもある。古来から受け継がれてきた伝統工法の技を結集し、何世代にもわたって親しまれる建築をつくるという意識が、株式会社和昇の職人一人ひとりに浸透している。その姿勢は、完成した建物の細部にまで表れている。
築100年超の古民家に現代の役割を与える再生事業
株式会社和昇が取り組む古民家再生は、住宅から商業施設、宿泊施設まで用途の幅が広い。住まいとしての再生では「住み継ぐ家」を掲げ、歴史的な風合いを残しながら現代の家族構成や生活動線に合わせた改修を施す。一方、商業・観光用途への転用では古民家カフェや宿泊施設への改築を手がけ、建物が蓄積してきた時間の厚みをそのまま事業価値へと変換している。日本の伝統建築とビジネスニーズを結びつけるこの取り組みは、建築業界の内外で関心を集めているという声が目立つ。
築100年を超える建物には、新材では再現しにくい木の表情や空間の奥行きが残っている。そうした要素を活かしつつ、耐震性や断熱性といった現代基準を満たす改修を同時に進めるのが株式会社和昇のやり方だ。再生後の建物を訪れた利用者からは「古さが心地よさに変わっている」という感想が寄せられることも多い。こうしたプロジェクトの積み重ねが、日本の建築文化遺産を次の世代へつなぐ回路になっている。
隠蔽部まで踏み込む現状調査と一貫した設計支援
小屋裏や床下など、外からは見えない箇所まで調査対象とするのが株式会社和昇の流儀だ。構造的なリスクを数値とデータで可視化し、そこから最適な工事方針を組み立てていく。調査結果は施主が判断しやすい形に整えて共有され、プロジェクトの意思決定を支える基礎資料として機能する。この調査精度の高さが、着工後の手戻りや追加コストの発生を抑えている。
新築の設計から改修工事の提案まで、宮大工の専門知識を軸にしたコンサルティングを一括で引き受ける体制が整っている。施主の要望を丁寧に聞き取り、プラン図の作成から工事内容の詳細検討まで途切れなく対応。「説明が具体的で、完成形がイメージしやすかった」と感じる施主も多いようだ。伝統建築の美しさと現代の機能的な要求を同じ図面の上で成立させる設計力は、長年の実務経験に裏打ちされている。
学歴・性別不問で門戸を開く人材育成の仕組み
経験豊富な宮大工には業務委託という形で自主性を尊重した働き方を用意し、未経験者には正社員として技術習得に集中できる環境を整えている。株式会社和昇では学歴や性別による選別を行わず、向上心と粘り強さを持つ人材であれば受け入れる方針を貫いてきた。見習いの段階から実際の現場に入り、段階的に技術を身につけていくプロセスが体系化されている。こうした教育の仕組みが、伝統技術の途絶を防ぐ現実的な手立てになっている。
現場では硬直した上下関係を排し、新人でも先輩職人へ気軽に質問できる雰囲気が保たれている。ある若手職人は「わからないことをその場で聞ける空気があるから、成長が早いと思う」と話していたという。経験の浅い人材が萎縮せず技を吸収できる環境は、組織としての再生産力に直結する。多様な経歴を持つ職人が同じ現場で技術を磨き合う風景は、株式会社和昇の組織文化そのものだ。


